2009年2月3日火曜日

第二回 染めについてのあれこれ

9月30日からのご無沙汰です。Colour Labからお届けいたします……。
……サボっていたわけではないですよ(イイワケヨクナイ。
気を取り直して、染めについてのあれこれ。第二回、はじめます~。

 さて前回、ロット段とは「全く同じ染めを再現することができないために発生する色違い」というところで話が終わっていたと思います。今回はそれの続きです。
さて、同じ染めを再現できない理由は人間のせいだけではありません。染料や素材がロット段の原因になることもあります。
 絹、綿などの天然繊維は糸の状態になるまでに多くの工程を経ることもあり、ブレが発生しやすくなります。絹糸について詳しく見ていきましょう。ちょっと横文字がでてきますが「あぁ、謎の言葉だな」と、聞き流していただいて結構です(マテ。

 さて、絹糸の原料となる生糸は
 フィブロイン(66.7%)、セリシン(20.5%)、水分(11.0%)、以下、ロウ・脂質、灰分、色素で構成されています。たとえば上質の着物などに使われる絹糸として利用できるのはフィブロイン(絹質)のみで、残りのものは不純物で使えません。最初からこういう不純物がなければ便利なのですが、この不純物は生糸固有のものなのでどうにもなりません。生糸に限らず天然繊維は大なり小なり不純物を含みます(セリシンは生糸固有)。このように素材そのものに最初から含まれる不純物を一次不純物といいますが、化学繊維が天然繊維に比べてロット段が生じにくいのは最初からこの一次不純物を含んでいないことも理由に挙げられます。
 ちょっと話を脱線します。一次不純物が悪者のような言い方をしていますが、実はそうとも言えません。たとえば、セリシンの含有率で絹は表情を大きく変えてくれます。昔から職人はセリシンを残すことで絹糸に表情を持たせてきました。100%セリシンを除去する精練を本練りといいますが、ほかに七分練り、半練り、三分練りなどなどなど。セリシンを残すことでシャリ感のある絹糸になってくれるのです。
 また、染には関係ありませんがセリシンは化粧品の材料としても非常に有益です。抗酸化効果や保湿効果をあげた化粧品にセリシンを原料にしているものも多いのではないでしょうか。閑話休題。
さて、話を染めに戻しますが、一次不純物を取り除く過程で差が出てしまったり、そもそも天然素材ですから素材そのものが均質でなかったりという理由からもロット段は発生してしまいます。
 ……化学繊維が発達したのはそういう理由もあったのかもしれません。安く均質な製品を望まれたとき、化学繊維は天然繊維よりもすぐれた面があるのは確かです。が、セリシンのように混ざりものがあることで糸が生きる場合もあります。次回はそういう話をしたいと思います。
 ……ちょっとまとまりのない話になってしまいましたが、今日はここまでにしたいと思います。

それでは、皆さん次のブログでお会いしましょう。失礼しました。

遠藤染工場 Colour Lab

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