2009年3月7日土曜日

第一回 色についてのあれこれ

 ブログをご覧の皆さま、こんにちは。
 京都も3月に入ってようやく暖かくなってまいりました。御所の梅も見ごろを迎えております。もうすぐ桜ですねぇ…。今年はどこの桜を見に行こうかな、と雑誌をめくりつつ、Colour Labからお届けします。
 さて、タイトルにあるように「染めについてのあれこれ」の姉妹シリーズにあたるこの「色についてのあれこれ」。色の見方や色の名前、歴史などをお話ししたいなぁ、と思っています。「染めについてのあれこれ」よりは話の脱線が少なくなるように(「染めについてのあれこれ」読み返してみたのですが、半年過ぎて四話しか進んでない(しかも脱線が多い…)ことに愕然としましたので、今回はそうならないように……努力します(ぉ)。
 さて、色について。
 第一回目をはじめたいと思いますー。

 まず、基本からお話をしましょう。
 皆さんのまわりに無限に存在する「色」なのですが、もちろんそのすべてに「色の名前」があるわけではありません。現在、日本工業規格「物体色の色名」(JIS-Z8102)で定義されている色の名前には269色があります。
 「たったそれだけなの!?」
と、驚かれる方もおられると思うので、補足を加えますと、このJISが定義している色は「比較的知られている名前、あるいは知ってほしい名前」として取り上げたものにすぎません。JIS規格に入っていない色の名前のほうが圧倒的多いのが現状です。私が把握している色の名前は色の重複、亜種を含めれば「和名」だけで1000をはるかに超えます。これに世界の色の名前を加えたらいったいどれくらいの数になるのか、ちょっと溜息が出そうなほどです。
 なぜ、これらの色がJISに入れなかったのかというと、……たぶん、紛らわしかったのでしょう。
 色には基本的に境界線がありません。
 同時に、ピンポイントで色が指定されているわけでもありません。
 明るさはこれくらい、黄色はだいたいこれくらい、赤みはそこそこ、青は控えめに…。などで大まかにくくられた領域の色に名前をつけたにすぎないのです。当然、多すぎると色名のそれぞれの領域が重なってしまうことになります(だからいくつかの色は間引かれてしまいます)。
 
 では、JIS規格で指定されている色はピンポイントで定義されているのかというと、まったくそうではありません。
 現在、色に関するたくさんの本が出版されていますが、本によってJIS規格の色でさえも異なって表記されていることがあります。それは印刷のインクの問題ではなく、CMYBの数値から根本的に違っています。これはJIS規格の色であっても、ピンポイントで色指定をしているわけではなく、ある程度の範囲の色を示しているにすぎないことを示しています。

 では、色の名前ってなんなんでしょうか?
 見る人によって同じ名前でも色が違ってしまう、そんな色に名前をつけてもいいものなのでしょうか?
 と、私もつい最近まで悩んでいたのですが、きっとこれでいいのでしょう。
 ただ、いくら紛らわしいからといって、何百年も続いてきた色の名前をなかったことにするなんてもったいないので(というよりも、切り捨てていいものではないと私は思っています)、ここではそれらを一つ一つ紹介していこうと思います。もちろん、このシリーズで紹介するのは過去のいくつかの資料からA.F.Eが取捨したり、平均値をとったり、なんかこう、いろいろな試験をして染めた色なので、皆さんが知っている名前の色でも、皆さんの心にある「色」とはまた違った色のようになって紹介するかもしれません。
 けれどそれもご愛敬。
 こういう風に色を見る人もいるんだなぁ、と思っていただければ幸いです。
 では次回から、色についてのあれこれ、本編はじめたいと思いますー。

 今日はお知らせのみで。
 長文失礼しました。
 次のブログでお会いしましょう。

遠藤染工場 Colour Lab