2008年9月30日火曜日

第一回、「染めについてのあれこれ」

ブログをご覧の皆様、こんにちはっ。
 今日はColour Labからお届けします。ちょっと企画室のほうが可哀そうな状況になっておりますので、しばらくはColour Labのほうから染めについてのことを少しお話させていただこうかな、と思います。染をされておられる方には退屈、手芸をされておられる方には役に立つ知識かどうか微妙…ということでちょっと悩んだのですが、雑談用の豆知識程度に気楽に読んでいただけたらと思います。では、第一回「染めについてのあれこれ」、はじめたいと思いますー。
 
 以前、店舗で来られた、ご自身で染めをされておられるお客様から
「前に染めた色をもう一度染めようとしてるんだけど、前と同じ色にならないわー」
という話になったことがあります。
「ロット段だからある程度はしょうがないですよー」
という話で終わったのですが、ロット段がどうして起こるのか少し補足しようと思います。
 
 繊維を染めるのに必要なものは
 ① 染料、② 繊維(糸、生地など)、③ 水、④ 熱、⑤ 薬剤が必要になります(時には熱や薬剤を必要としない染もありますが、ここでは例外とします)。
 さて、同じ色を再現しようとするのなら、基本的には次のように行動すれば良いということをお分かりいただけると思います。つまり、
 ① 染料は以前使ったものと同じものを、完全に同量だけ、② 繊維も同じものを、③、④、⑤の水や熱、薬剤も以前と同じようにする。熱や薬剤を以前と同じにするとは、水の温度上昇曲線を同じにする、薬剤も以前と同じ温度のときに投下する、という作業を行うことになります。当然、染める時間も同じにしなければならないでしょう。染め方も同じように。
 理屈的には条件がまったく同じになれば、同じ色が再現されるはずです。ですが、上の過程を見ていただければお分かりいただけるように、以前と同じ染めをまったく同じように繰り返すのは非常に難しいように思います。一般の方がどこで躓きやすいかというと、第一に同量の染料を計量することでしょうか。染めは基本的に「黄色、赤色、青色」の三原色を配合することでほしい色を作るのですが、この配合が少しでも狂うと色のブレが必ず発生します。特に、ベージュ、グレー、茶、カーキなど三原色の混合割合が近い色やエクリュー、オフ、グレージュなどの淡い色は多少のブレでも大きく色目が変わって見えます。家庭用の秤では本当に微妙な重さを量るのは難しいのではないかと思います。個人的な感想を述べさせてもらうなら、上にあげた4系統の色は前回と染料量が2~3%(三系統の一色、1gだったものが、1.02~1.03g、あるいは0.97~0.98g)に変わるだけで、全く違った色に見えてしまうのではないでしょうか。あまりに色が前回から離れてしまった場合、修正のための染めをすることになります。

 ロット段とは
「全く同じ染めを再現することができないために発生する色違い」
 という風にとらえていただいていいでしょう。どこまでの色差をロット段として認められるのか、ということは非常に微妙な問題なのですが、これは染屋の良心によるのではないでしょうか。
 さて、上のことを踏まえた上で、もう少し詳しくお話ししたいと思います。
 ……うん、ちょっと長くなりそうなので今日はここまでに(区切りの悪いところですいません^^;)。

 それでは、今日はこのあたりで。
 次のブログでお会いしましょう。失礼いたしました。

 遠藤染工場 Colour Lab / Art Fiber Endo 商品企画室

2008年9月9日火曜日

キルトウィーク、店舗限定商品などのお知らせ

ブログをご覧の皆様、こんばんはっ。

前に書いたブログの日付が…orz。
とんでもないことになっていますが、気付かないふりをして進めたいと思います(ぇ。

 HPのトップでも少しお知らせしたのですが、今年はインターナショナルキルトウィーク横浜に出展させていただけることになりました。キルトウィークへの出店は難しいかなぁ、と思っていたので出店許可の通知が来たときは、工房の皆もびっくりしていました。…開催まで二ヵ月というスケジュールに工房全員、冷や汗をかいていることと思います(←他人ごとではない…。

 後日、会場のどのあたりに出展するのか地図付きでお知らせできると思うのですが、A.F.Eの会場ブース番号は「C-7」になりました。もし会場にお越しになれらることがありましたら、ぜひお立ち寄りくださいませ。
 キルトウィークに向けての商品開発に企画室はもちろん、labも巻き込んでバタバタしている状態でなかなか新商品をHPに紹介できていないのですが、今日は店舗のみで販売している限定商品についてお知らせしたいと思います。まずは写真をどうぞ。











 上の写真の糸は京都西陣で織られてきた帯や着物のために作られ染められた最高品質の絹糸です。一反の布を織り上げたときに残る、わずかな絹糸。そのような糸も西陣の職人さんたちはおろそかにすることはありませんでした。ひと束、ひと束の色はすべて異なり、同じものはありません。それはその色の数だけ布がおられ、着物となっていったことを教えてくれます。老舗の織屋が提供してくれたこれらの絹糸は西陣の歴史そのものといっていいかもしれません。
 経緯からお察しいただけるよう、完全な限定商品。ひと束ひと束、色が違いますのでネット販売もできません。それゆえの店舗限定販売です。店舗では何色かのセットにして販売しているようです。
 他にも、HPに載せる前の試作品などもいくつか店舗に出ているようです。もし店舗に来られた際は店の中の商品を隅々ご覧になることをお勧めします。結構、わかりにくいところに試作品を無造作に置いていることもありますので……。
 それでは皆さん、今日はこのあたりで。
 次のブログでお会いしましょう。失礼いたしました。
Art Fiber Endo 商品企画室