2010年11月26日金曜日

京都紅葉だより 天龍寺

ブログをご覧の皆さま、こんばんは。

 皆さま、23日はどこかに行かれたでしょうか? 23日、京都は曇り、おまけに小雨がぱらつきそうな天気でちょっと出歩くのをためらうほどだったのですが、とりあえず、貴船、鞍馬、雲ヶ畑あたりの山間を回ってみました。山の紅葉はだいぶ落ちてしまっています。平地もイチョウなどは大きく葉を落とし、目立って残っているのは楓だけ。今度の土、日が紅葉を楽しめる最後の休日になりそうです。
 まだ紅葉がきれいだと思われるのは嵐山周辺、天龍寺。
 天龍寺とか、人でいっぱいで紅葉なんて見てられないじゃない、と思われた皆さま。
 大丈夫です。
 ほんの少し見る時間帯を変えるだけで、ものすごく紅葉を楽しめると思います。
 論より証拠。
 今朝、嵐山天龍寺の庭園の写真を撮ってまいりました。ご参考までに。

                      (嵐山周辺、桂川にそって)

 この紅葉の時期、とにかく京都の観光地は、人、人、人。周辺は車は動かないし、お店も並ばないとお昼御飯は食べられない。紅葉を見に来ているのか人を見に来ているのかわからなくなる、ということがよくあります。23日に貴船、鞍馬に行きましたが私はお昼、抜きです。人でいっぱいで。というか、外に椅子が用意されている店もあって、外でなら座って食べられるところもあったかもしれませんが、嫌です。寒いし。どんな我慢大会ですか。というわけで、用意してきた蓬餅としそ餅をもそもそと食べながら歩き回っておりました(これはお昼ご飯じゃない)。それはともかく。

 上の写真は嵐山周辺の桂川沿いです。時間はたぶん朝の7時くらい。お昼には人力車や人でいっぱいのこの道も、この時間ならご覧の通り。今年の春くらいに嵐山周辺についてのブログを書いていたと思うのですが、観光地周辺の渋滞や人混みを回避するには早起きするしかありません。長年京都で暮らしてきて、それ以外の方法を思いつかないです。

                       (天龍寺、庭園外の紅葉林)
 でも、あまり早く行動しても、お店も観光地も閉まってしまっているのでは、と思われると思います。その通り、大体の観光地はそうなのですが、この時期の天龍寺は、早朝参拝というものがありまして、朝の7時から庭園に入ることができます。あまりこのことを知っている人は少ないのか、この時間帯だと天龍寺境内にはほとんど人がいません。平日は特に。この紅葉の時期、早朝の天龍寺庭園は私が最も好きな場所の一つです。前置きはここまでにして紅葉の頃の天龍寺早朝。ご覧ください。


                    (天龍寺、方丈から遠く庭を望む)
 紅葉の名所として天龍寺は知られています。では、紅葉が一番綺麗に撮れるのはどこ? と、問われれば、私は曹源池手前に建つ、方丈の廊下から池と紅葉を撮影するのをお勧めしたいです(上の写真の建物が方丈。向こうの渡り廊下からがおそらくベストな位置です)。たぶん、パンフやテレビで天龍寺が紹介されるとき、大体その位置から撮っているものが含まれていると思いますので。昼までは人が多くて絶対にそんな写真は撮れませんが、朝なら大丈夫。ご覧の通り、ものすごく人は少ないです。
                       (天龍寺庭園曹源池、北岸から)
                  (天龍寺庭園、曹源池の東岸から)

 朝早くとあって、嵐山には霞がたっています。遠く霞んだ山の色は手前の紅葉の色を引き立たせています。そして水面には紅葉の木々が写って水中にも木が立っているよう。曹源池の東に方丈が立っているのですが、その方丈にそって簡易ベンチが並んでおり、ゆったりと庭を楽しめるようになっています。私が写真を撮っているときも、何人かの人がのんびりと庭を眺めておられました。

               
                       (天龍寺、曹源池北岸から)
 今日の京都は朝からほんとに雲ひとつないくらいのいい天気。こういう天気がもっと早くに来てほしかったのですが、今年はなかなか思い通りにはなりませんでした。方丈の影から朝日が抜け出ると、紅葉はより一層鮮やかに。4枚目の写真と同じ北岸から撮ったものですが、日の光がさすと、紅葉の色が澄んで透き通るように見えるのがわかります。本当にいい色。

 天龍寺庭園の見どころをもうひとつ。
 私見ですが天龍寺庭園の北門周辺もいいところではないかと思います。ここは竹林が迫っているところで、楓の紅と竹の黄緑色がコントラストになり、色鮮やかなんです。


                     (天龍寺庭園、北門周辺より)
 
 ……上の写真でも紅葉がきれいですがまだ我慢。もう少し陽が高くなるまで待っていると……


                      (天龍寺庭園 北門周辺)

↑という感じに(10分くらい待ちぼうけしましたが^^;)。

 日本庭園の様式として、楓は西に植えるのが良い、とされているのを聞いたことがあります。これは夕陽の太陽の光がより一層、紅葉を色鮮やかにする、ということに由来するそうなのですが、色の見方というのは上の写真のように光の入れ方で全然違って見えますね。これは別に紅葉だけに限った話ではありませんが、光が色を全く変えてしまうのはよくあることです。色と光は本当に切り離せない関係にあります。

 西洋でも中世、ステンドグラスの配置は太陽光の向きや角度を計算して置かれていたと聞きます。あるいは昔に生きる人々のほうが、現在に生きる私たちよりも色の性質について経験からの深い洞察があったのかもしれません(色を見る際、どの光源の下で見るのか、ということは本当に重要)。

 さて、本当なら庭園を一回りした後、方丈からもう少し庭を眺めていたいところですが、今日は平日。そろそろ戻らないと染め場が……ということで、後ろ髪を引かれる思いで天龍寺を後に。休日だったら、天龍寺から常寂光寺までの鉄板お勧めルートをたどりたいところでした……。常寂光寺もまた雰囲気のあるいいところです。ご興味のある方は是非。大体、嵐山にいたのは一時間くらいでしたから、ちょっとした朝の散歩くらいの感覚で紅葉を満喫できると思います。

 京都にお泊りの方は是非。天龍寺の早朝は本当に、一押しのお勧め場所です。

 それでは皆様、この週末は良い日でありますように。

 失礼いたしました。

Art Fiber Endo 商品企画室 / 遠藤染工場 Colour Lab

2010年11月22日月曜日

京都紅葉だより 東福寺

ブログをご覧の皆さま、こんにちは。
秋深くなってまいりました。皆さまの家の近くの紅葉はどうでしょうか?
先日、ようやく、ようやく京都も晴天に恵まれ、私も紅葉狩りに行ってまいりました。土曜日も天気が良かったので見に行きたかったのですが、ちょっと所用で都会のほうに行ってまいりましたので、昨日の日曜日が今年初の紅葉狩りとなります。いや、今年は雨とか曇りとかで晴天の下での紅葉は見れないものと諦めていたので一層、この週末は非常に気合が入っておりました。多少の人ごみでは絶対に引かない、という心意気で朝食をパクついていたのですが、早朝に嵐山、高雄方面の紅葉を見に行っていた家族が
「……今、嵐山は凄まじい……」
という、ものすごく不吉なことを言ってくれやがりましたので大きく場所を変えて東福寺へ(←根性無し)。ここも紅葉の名所として有名なのでご存じの方も多いと思います。この時期、東福寺から清水寺、疏水のほうの紅葉を楽しみに来られる方もいらっしゃるのではないでしょうか? 事前の下調べで疏水周辺の岡崎あたりの紅葉とかは少し葉が落ちてしまっているのを確認していたので、ここは東福寺に的を絞ろう。そんな感じで今年の紅葉狩りが始まったのでした。


                      (東福寺 臥雲橋から紅葉を望んで)
 ……はい。
 東福寺の西の壁沿いを歩いて行くと、屋根付の木造の橋がかかっています。この橋の名前は臥雲橋。東福寺境内にある紅葉の名所として知られている通天橋と並行して架かっている橋です。この橋から左手を望んだのが上の写真。紅葉の隙間から通天橋も見えますね。どうやら東福寺に来たのは大当たりだったようです。
 問題があるとすれば。
 臥雲橋の上、人ごみで身動きができない……。
 紅葉を写真に撮ろうと立ち止まる人が多いため、橋の一部は満員電車をほうふつとさせるような人の群れが。通行を規制している警備員の方々は「ワンショットでお願いします」と声を張り上げていらっしゃる。最初何のことかわかりませんでしたが、これ写真は一枚だけ、ということでしょうか。そんな声が行き交うほどに橋の上は盛況でした。
 さて、紅葉の名所として有名な東福寺ですが、何も見どころは紅葉だけではありません。国宝の三門や禅堂などの建物も実に堂々として見ごたえがあります。
 
                         (東福寺三門を見上げて)
 とはいうもののやはりこの季節、皆さんのお目当ては紅葉が主なのか、山門周辺や建物周辺はぐっと人が少なく。臥雲橋の人混みで少し気疲れしたので境内を少し散策します。

                       (東福寺境内 五社成就宮)
 境内をぐるりと歩きましたが東福寺、いいところだと思います。寂びたところもあってすごくいい。
 もう少し家に近かったら頻繁に行きたいところですね。境内に入るのは無料ですし(ただし、通天橋、方丈庭園に入るにはそれぞれ400円ずつお金がいるみたいですが。というか、なぜ別々にお金を取るんだ……)。まぁ、そんなこんなで境内も十分堪能しましたし、今日の目当ての通天橋に行くとしましょう。

                       (通天橋 左手の紅葉林)

 東福寺は渓谷を境内にもつ、変わった作りのお寺です。その渓谷沿いに紅葉が植わっており、臥雲橋、通天橋、そしてもう一つ偏月橋から望む紅葉は本当にきれいですね。通天橋がことのほか有名なのは、この橋が三つの橋の真ん中に位置しており、橋の右を見ても左を見ても紅葉が楽しめるからだと思います。しかし臥雲橋から撮った写真を見ていただいてもお分かりいただけるように、他の橋から見る紅葉も本当にきれいですよ? では、橋の上からしか紅葉を楽しめないのか、というと実はそうでもありません。境内の紅葉林に沿う形で道が整備されているので、別に橋を渡らなくても上の写真のように紅葉を楽しむことはできます。上の写真は通天橋を渡っている最中に撮った写真ですが、紅葉林の横を普通に観光に来られている方々が歩いていらっしゃるのを見て取ることができます。

 では、橋を歩く意味はないの? と言われますと、そうではありません。渓谷の上にかかる橋から眺める紅葉はやはり綺麗です。特に臥雲橋の上から見た通天橋、あるいは通天橋の上からみた臥雲橋は一見の価値ありだと思います。本当に是非一度見ていただきたい。

                     (通天橋から渓谷を見下ろして)

 普通、紅葉は見上げて楽しむものですが、橋の上では紅葉が足元に。場所によっては紅葉の壁を見ることができます。人が多くてあまり写真が撮れなかったのは残念でしたが、それを補って余りあるほど楽しめました。おそらく次の土、日曜日くらいまでは紅葉も散るのを待ってくれると思います。もし東福寺の紅葉に興味を持っていただけたなら是非、実際にご覧くださいませ。

 有料の方丈庭園も行ったことがあるのですが、こちらは枯山水が主となる庭です。有名な作庭家の方の作であり、十分に見ごたえのある良い庭なのですが石庭が主であるため紅葉を楽しむために来られる方は無理に入ることはないかもしれません。方丈庭園からも紅葉は見えますが、通天橋からも同じ紅葉は見えますし。ただ、通天橋よりも人の数がぐっと少なくなりますので、のんびりと渓谷の紅葉を楽しみたい、という方には通天橋よりもお勧めできそうです。通天橋は現在、満員電車さながらに渋滞しておりますので。

 京都紅葉だより、東福寺。

 ざっとこんなところでしょうか。京都は今日は雨。明日はまた晴れてくれるようなのでまた別なところに行こうかと思います。嵐山はもちろんのこと、秋の詩仙堂とかいい感じになっていそうです。明日が先日のように綺麗に晴れてくれるのを祈りつつ。

 それでは皆さま、次のブログでお会いしましょう。

 失礼しました。

Art Fiber Endo 商品企画室