2014年7月18日金曜日

祇園祭前祭を振り返って

 ブログをご覧の皆様、お久しぶりです。
 いよいよ夏本番となってまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 素麺のゆで加減にひたすらこだわるA.F.E商品企画室からお届けします。
 例のよって新商品のご案内ではないのですが(ぉぃ、今年は150年ぶりに祇園祭が大きく変わったということで、祇園祭前祭。私も行ってまいりました。

 さて、新聞やニュースでたくさん取り上げられていたのでご存知の方も多いと思うのですが、今年の祇園祭は150年ぶりに大船鉾が復活したことで、山鉾巡行が前祭、後祭の二回に分けて行われることになりました。私の感覚からすると祇園祭が年に二回ある、というのはすごく違和感があるのですが、そういうことらしいです(←かなり適当)。
 で、この祇園祭の大改革の原因となった大船鉾はどんなのかと、前祭の宵山で見に行ったのですが、まだ立っていませんでした(ぇ。というのは、前祭・後祭と別れたことで、これまで一度に山や鉾が立てられていたのが変更され、前祭に巡行する鉾、山だけが前祭宵山前に立てられ、後祭に巡行する鉾は後祭宵山前に立てられる、ということらしいです。大船鉾は今年の後祭巡行の最後をいくので、後祭宵山前の17日~21日にかけて鉾立てのようですね。がっかりしましたが代わりに船鉾の写真を一枚。
(船鉾 7月14日宵山より)

 祇園祭について今年から大きく変わったのがもうひとつあって、宵山の露店に規制が入ったようです。14日の宵山なのに露店が一軒もありませんでした。前日の16日にはさすがに露店も入ってくると思うのですが、こんなに見やすい祇園祭宵山は私も初めてです。普通、宵山に入ると人でいっぱいで、上のように人がいない状態の鉾を撮るなんて至難の業なのですが。四条通はさすがに人が多く行き交っていましたが、そこも時間を外すと余裕を持って山や鉾を見られると思います。純粋に山鉾や屏風祭りを楽しむなら宵山前半に見に来られることをお勧めします。露店の食べ物が目当ての人は、巡行前日まで我慢。
 今年は例年とあまりに違いすぎて私も何と言えばいいのか、善し悪しをつけがたいのですが、毎年露店に売りに出されるB級グルメをひそかに楽しみにしている私としては、主に胃袋あたりが寂しい宵山でした(山鉾巡行前日の宵山は出歩けなかったので、露店がどの程度出ていたのかは不明)。ただ、山鉾が気軽に見に行けるのはやはりいいですね。夜の風情があって大変見ごたえがあったと思います。これまでは、人ごみに飲まれる覚悟をして見に行っていたものですが(しみじみ)。

 もうひとつ、前祭・後祭が導入されることで変わったことがあります。
 それは山鉾巡行時間(ものすごく重要)。
 
 これまでは一回で、すべての鉾と山が巡行しなければならなかったので、最初から最後まで見るのにものすごい時間がかかりました。それが前祭・後祭に分けられることで一回当たりの時間が減る! 実は私もこれまで山鉾巡行を最初から最後まで見たことがありません。学生時代も巡行のあまりの長さから見に行かなかったのですが、今回、前祭巡行の時間が一時間半程度、ということでお伴で招待席から巡行見物に行かせていただきました。

(前祭巡行 長刀鉾)

 山鉾巡行の最初をゆく長刀鉾。
 前祭・後祭に分かれても「くじとらず」は変わらず巡行の先頭に。唯一、生稚児が乗る鉾ですね(写真の鉾正面に座っているのが生稚児……小さくて見づらいですが)。
 今年の前祭で巡行する山鉾は長刀鉾からはじまって、「占出山」、「芦刈山」、「孟宗山」、「函谷鉾(かんこほこ)」、「山伏山」、「綾傘鉾」、「伯牙山」、「菊水鉾」、「太子山」、「霰天神山」、「油天神山」、「鶏鉾」、「木賊山(とくさやま)」、「四条傘鉾」、「蟷螂山(とうろうやま)」、「月鉾」、「白楽天山」、「保昌山」、「郭巨山(かっきょやま)」、「放下鉾(ほうかほこ)」、「岩戸山」、「船鉾」の23台。
 観覧席で配られた巡行順を見た後、一番最初に思ったのが「一時間半で巡行終了とか、無理」。
 夏の京都、風のなく日当たりのよい閲覧席での山鉾巡行見物がはじまったのでした。

 さて、上の巡行順をご覧になると、「山」と「鉾」の二種類があることがお分かりいただけるかと思います。ざっくり分けるなら、小さなものが「山」、大きなものが「鉾」と考えていただいてかまいません(例外はありますが)。上の長刀鉾は最大の鉾ですが重さは12tくらいあります。で、この大きな鉾を曳き子と呼ばれる人たちが人力で引っ張っていくのですが、そんなに高速で動けるものではありません(むしろこんなでかいのが機敏に動いたら怖いですが)。ついでにこれらの鉾は基本直線にしか進めません。車のように前輪が進行方向に向かって動くようにはできていないのです。じゃあ、曲がるときにどうするのかというと、「辻回し」として有名ですが、地面に薄い竹をいくつも敷きつめて水をかけ、鉾を引っ張って強引に直角に動かします。一度におよそ30度ずつ、計3回動かして進行方向へ90度ずらすのですが、この作業、祇園祭の見どころであると同時に、時間のかかる作業となってしまいます。

 前祭で大がかりな辻回しが必要な鉾は「長刀鉾」、「函谷鉾」、「菊水鉾」、「鶏鉾」、「月鉾」、「放下鉾」、「岩戸山」、「船鉾」と、時間がかかるやつ全部、前祭につっこんできたのかという、ここはクジに多少細工してでも、後祭に鉾を割り振ることが許されるのではないかと思わざるを得ないラインナップでした。これはつらい。
 とはいうもののせっかくの初巡行見学。望遠カメラも持ってきて、準備万端で挑んだのでした。



(山鉾巡行 芦刈山)
 全部の写真を掲載すると大変なので、少しだけ。基本的な「山」の構造は上のようになります。御神体の人形、朱大傘に松を飾り、前懸、胴懸に豪奢な刺繍。写真をご覧いただければお分かりになるように、鉾に比べて非常に小さいのがわかります。「山」の中で例外なのは「岩戸山」、「南観音山」、「北観音山」でこれは「山」のくせに鉾と同じように車輪のついており、外観は「山」というより「鉾」に近いものがあります。

(山鉾巡行 綾傘鉾)

 そしてこちらが「鉾」の変わり種の「綾傘鉾」。
 「鉾」の名前が付いていますが、大きさは写真のように形もすごく特徴的。一般的な「山」よりもずっと小さいのですが、山鉾の古い形態を残した傘鉾のひとつだそうです。「四条傘鉾」も「鉾」の名前がついていますが、「綾傘鉾」と同じく、小さなものになります。綾傘鉾の行列は、笛、太鼓、鉦、棒振囃子の行列で山鉾巡行でもよく目立ちます。
 これらの山や鉾が前祭では四条通から河原町通りを北上し、御池通りを西へ行く、というのが巡行の道筋になります。
 祇園祭がはじまったのは今から1145年前。
 もともとは疫病退散の切実なお祭りでしたが、時代とともに形も変わり今のように山鉾風流の形となったのが650年ほど前のことだそうです。時代とともに少しずつ形も変わっているようで。次の650年後ははたしてどのような祇園祭になっているのか、想像できません。

(山鉾巡行 船鉾)
 大船鉾と並べて比べたかったのですが、上の船鉾で前祭の巡行は終了です。実に3時間という長丁場でした。望遠カメラのバッテリーも早々に切れ、手持ちのデジカメで撮った写真ですが、思ったより綺麗にとれていてよかった。
 
 24日に後祭の巡行があるのですが、閲覧席から御見物のご予定がある方がいらっしゃいましたら次のことにご注意くださいませ。

 帽子は必須です。閲覧席では帽子が配られますが、首筋までフォローできるものではありません。日焼け止めも事前に塗っておかれるとよいと思います。
 次にペットボトルの水も必須です。会場では水は配られません。また、周辺の自販機も限られるので、あらかじめお持ちいただく方がよいと思います(御池通りは自販機があまりないので)。
 後祭の巡行は1時間を予定しておりますが、ずれ込むことも十分考えられます。予定を立てる際、ご考慮くださいませ(前祭ほど時間がずれ込むことはないと思いますが一応)。途中で切り上げることも選択肢に入れて置かれた方が無難です。
 
 後祭巡行予定の山鉾は、「橋弁慶山」、「北観音山」、「八幡山」、「浄妙山」、「鈴鹿山」、「南観音山」、「鯉山」、「役行者山」、「黒主山」、そして「大船鉾」。宵山では新町通り、室町通り、烏丸通あたりを歩けばそれぞれの鉾を見つけられると思います。

 ご機会があれば是非、ごらんくださいませ。
 今日はこのあたりで。

 失礼しました。

Art Fiber Endo 商品企画室