2009年8月17日月曜日

第三回 色についてのあれこれ「白藍」、「白緑」

ブログをご覧の皆さま、こんにちはっ。

前回に引き続き、今日もColour Labからお届けします。

「一回につき一色のペースだと全色紹介するまでに何十年かかるの?」というあまり聞きたくなかった一言をちくりと周りから言われましたので今回は二色同時に紹介させていただきます。このシリーズ、始めた当初から予想していたとおり、ものすごく長いものになりそうです。皆様におかれましてもどうか、どうか気長に見てやっていただければと思います。三十年以内には完成させる気でいますので(←気が長すぎる人)。

では、第三回、色についてのあれこれ。「白藍」、「白緑」。はじめたいと思いますー。

「白藍(しろあい)」(別名 藍白、白殺し)



 上の色見本に筋模様が入っているのは気になさらないでください。一般に「杉綾」と呼ばれる素材を「白藍(藍白、白殺し。以下、白藍」と記述します)」に染めたものが上のものになります。

 さて、前回の桜色は紅染めで最も薄い、と記述しましたが、藍系列で最も薄いとされているのがこの白藍色となります(ただし日本伝統古色の中のお話)。お察しの通り、現在ではこの色よりもより薄く淡い染め色、というのもあるのですが(たとえば、有名どころではSnow Blueなど)、あまり一般的ではありません。アパレル関連では上の白藍よりも若干濃くてもすごく薄くてもサックスブルー、あるいは単にサックス、と呼ばれています。アパレル業界で万能すぎますサックスブルー。

 話を戻して。

 一番薄い藍、という風に言いましたが、この白藍よりも濃い藍色というのが当然存在します。というよりもこちらの濃い色のほうが有名だと思うのですが、一番濃く深い色の藍色を「深藍色(こきあい)」、次が「中藍色(なかのあい)」 、「浅愛色(うすきあい)」、ときて、最も薄いのがこの白藍色になります。この「深」、「中」、「浅」という色の分け方ですが、古色では頻繁に目にします。紫にもありますし、たしか緑にも使われていた記憶がありますね。どっからどこまでが深でどこからが中なのか非常にわかりにくいです。誰か教えてください(マテ。

 さて、一番初めの紹介で白藍の別色を藍白、白殺し、という風に書きましたが、実は正確ではありません。と、いうより本来は別物です。藍染めをされておられる方はご存知だと思いますが、藍染めは何度も染めを繰り返すことで薄い色から濃い色へと染めていきます。「藍白」というのはこの藍染めの一番初期の段階(一回染めを終えた後の状態の色)のことを指します。一方、「白藍」ははじめからその色の濃度になるように染料を調整し一回で染め上げた色を指します。このように出来上がりとなる色は近しいのですが、その色を染める道筋は異なっているのをお分かりいただけると思います。

 が、基本的に色目は近く、両方とも藍染めで最も薄い、というように理解されていますので、ここでは同じ色として扱わせていただきました。今日は二色紹介するということなので、「白藍」はここまで。

 では次の色へ~。


「白緑(びゃくろく)」


 ……またえらく薄い色が連続で出てきますね~。
 今日、二色目は「日本伝統古色、白緑」です。例によって上の色見本に模様があるのは無視しちゃってください。
 まずはじめに。
 この「白緑」なのですが日本伝統古色ではあるのですが、染め色ではありません。何を言っているのかというと、この白緑は染料の色ではなく、顔料の色です。前にブログの中でお話ししましたが、基本的に染料と顔料とは扱いが全く異なります。染料は繊維の中に入り込んで染まるのに対して、顔料は絵具と同じように、接着剤で繊維の表面にくっつき紙や生地に色を付けます。日本画などをされておられる方はご存知かと思いますが、日本画に使われる顔料は岩や鉱物や貝殻などを砕いて粉にしたりすることで得られます。
 この白緑も同じく、孔雀石(マラカイト)を砕いた粉末をさらに細かくしたものです。古色の名に「緑青」というものがありますが、その原料は白緑と同質のものです。ただ、細かくした分色が薄く見える、ということから、白緑と緑青とは別の色として認識されています(実際、白緑は見本によってかなり濃淡の差が大きいように思います。粒子の細かなものは薄い色に見えますし、粗いものは濃く見えます)。
 白緑のもととなる緑青は仏教伝来と時を同じくして日本に伝わったということですから、この白緑もそれくらいの時代から使われてきたのでしょう。

  染色業界の中で緑色は不遇な色、という印象を個人的に持っています。というのは、若草や葉っぱなどに由来する中くらいの濃さの色名はたくさんあるのですが、この白緑のような薄い色の緑となるとあまり色名を思い浮かべることができません(私の不勉強かもしれませんが)。たぶん、A.F.Eではこの白緑が緑系列で最も薄い色になると思いますし、世間で認知されている緑系の色名でもこの白緑が最も薄い色になるのではないかな、と思います。……秘色があるじゃないか、という突っ込みはここでは聞きません(オイ。

 パソコンのディスプレイ上できちんと色見本が再現して見られるのかどうか非常に気になるところなのですが……第三回、色についてのあれこれ「白藍」、「白緑」についてはこれで終わりたいと思います。
 ……桜色の時よりはあっさりした紹介になってしまいましたが、これは私の色の好みの問題だと思いますので改善できません(マテ。
 
 それは皆様、次のブログでお会いしましょう。
 長文失礼いたしました。

遠藤染工場 Colour Lab / Art Fiber Endo 商品企画室

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