2009年8月31日月曜日

第六回、色についてのあれこれ 「象牙色」

ブログをご覧の皆さま、こんばんは。

 ……順調にブログが更新されていくと逆に不安になりますね(オイ。
 前回に引き続き色についてのあれこれ「象牙色」はじめたいと思いますー。アパレル関連ではアイヴォリーと表現されることが多いのですが(というか、アイヴォリーの訳語が象牙ですので、そう表現されて当たり前なのですが)、このアイヴォリーという色名も非常に広範な色に用いられる呼び名です。

 ……正直に言うと、ものすごく薄い灰色は赤みがかっていようが、青みがかっていようが「アイヴォリー」と言っておけば問題ありません(マテ。それほど使い勝手のいい色名だということです。

 それでは前置きはここまでにして、色についてあれこれ「象牙色」はじめたいと思いますー。

「象牙色」

 ……桜や白藍、白緑の時も不安でしたが、まともにディスプレイ上に色が再現されているのでしょうかこの象牙色。見えていないことも考えて簡単に説明しますと、やや柔らかみのある灰、それをものすごく薄く染めています。 象牙色を黄みの白、という風に表現している書物もあるのですが、ここではそれを採用しておりません。黄みに若干の青みの灰をもたせております。あくまで「象牙色」の範囲内ではありますが。

 日本に初めて象が渡来したのは室町時代。だったらこの「象牙色」という色もそのときに伝わったのかというと、そうではないようです。前置きで「アイヴォリーの訳語が象牙色」という風に書きましたが、象牙色という名称は近代西洋文学が日本に輸入されたとき作られた色名、というのが通説のようです。江戸時代、根付や印鑑に象牙が使われていたはずですから、この象牙色、もう少し時代が古くてもおかしくないのではないかなぁ、と思うですが。……どうなんでしょうしょうね。和名でこの象牙色に近しい色、というと「鳥の子色」、「練色」、「蒸栗色」、「卯の花色」などを思いつくのですが、やはり象牙色のように黄の灰色、という色ではないようです。まぁ、昔からの和名になかったから「象牙色」なんて新しい色名をつくったのでしょうが……。……ちょっと色の見方が辛いんじゃないかなぁ……。

 たくさんの色名が生まれ消えていきましたが、この象牙色(アイヴォリー)はもっとも成功した色のひとつと言っていいでしょう。使い勝手もよく、服飾では欠かせない色の一つになっております。

 以上、「象牙色」でした。次の色は……「鶸」か「甕覗」あたりにしたいと思います。

 それでは今日はこのあたりで。お付き合いいただきありがとうございました。次のブログでお会いしましょう。

遠藤染工場 Colour Lab / Art Fiber Endo 商品企画室

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