2015年1月6日火曜日

新年あけましておめでとうございます!

新年あけましておめでとうございます。
正月三が日、雪に閉ざされてどこにも行けなかったA.F.E商品企画室からお届けいたします。
……温泉にね、行きたかったんですけどね……。

 お正月。
 皆様、いかがでしたでしょうか。
 今年のお正月は日本中大雪とか、そういう話を聞きます。
 京都も例にもれず、雪。
 それも60年ぶりの大雪だそうで。大雪、とはいっても京都市内の積雪はおそらく20~30cmくらい。雪国にお住まいの方々からは鼻で笑われてしまうような積雪量なのですが、雪の備えを全くしてないところでは非常に難儀なお正月を過ごされた方も多いのではないかと思います。

 京都では雪足がひどくなったのは元日の午後からだったと思うのですが、三時間くらいで辺り一面分厚い雪に覆われ、車も出せない状況に。まぁ、二日には車が通れるくらいには雪が解けるだろうと楽観していたのですが、さらに降り積もり、どうしようもない状況に。元日、二日は完全に寝正月になってしまいました。
 これはダメだと、三日目、全く雪がとけていない中、初詣を敢行。
 車や自転車が無理そうだったので徒歩でテクテクと今宮さんへ。

 雪化粧された軒並みは珍しいものでした。
 軒下には急造の雪だるまや本格的なかまくらを作っている家々があり、屋根からはずり落ちて壁のようになった雪やつらら。箒で玄関先の雪をどけようと悪戦苦闘のご家族。奮闘する親御さんの隣で、まわりの家からかまくら用の雪を拝借して自宅の軒先に積み上げる子供たち。
 理不尽な…と思いながらも新鮮な風景を楽しんでいました。
 私も路駐の車に積もった雪を手に、何気に雪玉を作ったり。
 たまには雪もいいもんだと思ったものです。

(お正月なのに誰もいない建勲神社前)

 三十分くらい歩いたころでしょうか。
 異変は足元からやってきました。
 雪を完全に舐めていた私は革製のウォーキングシューズを履いていたのですが、細かな雪が靴の中に入り込んでしまい、靴の中までずぶぬれに。とはいうものの、歩いていたので体はポカポカ。そう寒くもなかったのでそのまま今宮さんへ。
 

 お正月に雪が積もるなんてほとんどないものですから、雪の今宮さんを訪れたのはたぶんこれが初めてではないでしょうか。普段なら正門から拝殿まで「ずらり」と人が並んで何十分も待つのが普通なのですが、巫女さんの方が参拝客より多いんじゃないか? というほど閑散としておりました。

 お参りを済ませ、毎年恒例のおみくじを。
 この今宮さんのおみくじ、まったく良い札を出してくれないのですが(←末吉と凶が八割の人)毎年意地になってここでおみくじを引いています。

 今年の結果は「吉」…!
 かなり良い…!

 かざり屋のあぶり餅をおみやげに、嬉々として家路へ。

 お参りとかざり屋で時間をとってしまったからか、すっかり冷え、足元から底冷えするような寒さが。すでに真っ黒に濡れた革靴は、素足で雪の上を歩いているのと変わらないんじゃないか、というくらい雪の冷たさをダイレクトに伝えてきます。箒で除雪された道は、いい具合に雪が踏み固められた上に磨かれ、スケートリンクのように滑らか。雪かきを箒でするのは間違っているのではなかろうか。雪に慣れていない私はそれが正しいのかわかりませんが。帰りに思ったことはただひとつ、「これは吉か」と。

 なにはともあれ、まずは新年。
 今年も良い年でありますように。
 皆様、本年もA.F.Eをよろしくお願いいたします。

Art Fiber Endo 商品企画室

2014年11月25日火曜日

京都紅葉だより③ 天龍寺

 ブログをご覧の皆さま、こんにちは。
 A.F.E商品企画室から秋の便りをお届けします。

 京都はこの連休、晴天に恵まれました。例によって名所をいくつか巡ってきたのですが、ダントツで良かったのはやはり今年もここになってしまうのか、嵐山、天龍寺からお届けします。
 毎年、新しい紅葉の名所はないかと市内をあちこち回っているのですが、個人的には市内では天龍寺と東福寺が紅葉名所の頂点にあるのではないかと思っています。もちろん、趣のある良い庭は他にもあります。このお寺の庭ならこっちの場所から向こうの方向の紅葉を見たら本当に綺麗、とかそういう感じで。けれど、この天龍寺は別。恐ろしいほどに手がかかっているのがわかります。

(天龍寺 大方丈から望む紅葉)

 庭園に入って右手、大方丈から望む紅葉。柵が非常に邪魔なのですが…まぁ、しょうがない。今年は見頃にあたったようです。写真を撮った時間はおそらく朝の7時前くらいなのですが、この時間だと東からの朝日が正面から紅葉を照らすので、色が非常に鮮やかに見えます。
 天龍寺の良いところは、庭園の美しさはもちろんですが、庭園の開園時間が6時から、ということが非常に大きいです。

曹源池東から朝靄に煙る嵐山
              
 
(曹源池周辺)
 毎年思うのですが、朝7時前という時間にも関わらず、一枚の葉っぱすら池に落ちてないのがすさまじい…。境内の道も掃き清められ清々しく、本当に散策するには最高の御庭でした。

(天龍寺 庭園内)
(天龍寺 東の竹林)

 色が豊富にあるのが天龍寺の魅力の一つだと思っています。
 紅葉の赤と常緑樹の緑が互いに引きたてあっているのがわかります。いまでは一般に補色調和として知られていることですが、昔の日本人は感覚でそれを知っていたのでしょうか。
 上の写真の色を全部単色染めで抜きだすには、一体何色染めなければならないのか。
 うちの店の色はまだまだ足らない、ということが非常によくわかる景色でした。

 観光地として良く知られている天龍寺ですが、もしまだ訪れたことがない方がいらっしゃったら是非、一度、じかにご覧になられることをお勧めしたいお寺です。特に紅葉のときに。
 見頃はおそらく今週まで。来週になると厳しいかもしれません。

天龍寺 庭園
入園料 500円(大人)
交通   阪急電車「嵐山」駅下車 徒歩15分。
      JR嵯峨野線「嵯峨嵐山」駅下車 徒歩13分。

今回はこのあたりで。
失礼しました。

Art Fiber Endo 商品企画室


(天龍寺 境内前の紅葉林)

2014年11月18日火曜日

京都紅葉だより ② 北野天満宮 御土居

ブログをご覧の皆様、こんにちは。

京都紅葉だより二回目、今回は北野天満宮境内の「御土居」から。
 「北野さん」の愛称と共に学問の神様としても知られる「北野天満宮」ですが、境内に「御土居」と呼ばれる史跡があります。豊臣秀吉が作ったのですが、当時は洛中と洛外を分ける境界であり、鴨川の洪水を防ぐための堤防でした。洛中をぐるりと土居が囲っていたそうです。秀吉の時代が終わり時が経つにつれ、市中を囲っていた土居は少しずつ取り壊されて住宅地になっていったのですが、北野さんの境内には今も「御土居」の一部が史跡として残されています。

 北野天満宮に祀られている菅原道真公が梅と紅葉を良く歌に詠んでいたからか、北野天満宮境内には梅林と紅葉の林が今も伝え残されています。梅も有名ですが紅葉の名所としても知られています。
 

(北野天満宮 拝殿)

 北野天満宮境内は無料で誰でもはいれるのですが、「梅林」と「御土居」に入るには入園料をとられます。
 御饅頭込で大人600円。ちょっと高い。
 濃茶席での入園になると大人2000円。もっと高い。
 紅葉見物だけなら600円のほうで十分ですので、そちらをお勧めします(濃茶席は試したことがないので具体的なお話ができないのですが…)。

(北野天満宮 梅林から御土居への道)

 16日の時点での紅葉は3割~4割といったところ。先日の詩仙堂と同じく次の連休以降が見ごろになると思います。

(北野天満宮 御土居 鶯橋周辺)
 
特に御土居に沿って流れる紙屋川周辺の紅葉林は古く、「三又の紅葉」と呼ばれる樹齢数百年の古木も。御土居周辺の紅葉林は大きな規模ではないのですが(250本くらい)、密に重なり合い川面に映える紅葉は一見の価値あるものだと思います。


(北野天満宮 御土居 鶯橋から)

 この時期、夜間にライトアップもされるそうです。機会があれば行ってみようかと思うのですが、ものすごい人出になるということは想像に難くないですね…。川周辺に植わっている木々の多くはイロハモミジなので、一斉に紅葉すると素晴らしい景色になってくれます。鶯橋周辺が特におすすめ(上写真ではまだまだ紅葉しませんが…)。

 北野天満宮 御土居
 住所 京都市上京区馬喰町 北野天満宮

 もみじ苑入園料 大人600円(茶菓子付)
 午前10時~午後8時(日没よりライトアップ)

 今日はこのあたりで。
 失礼しました。
 
 Art Fiber Endo 所品企画室


2014年11月17日月曜日

京都紅葉だより ① 詩仙堂

ブログをご覧の皆様、こんにちはっ。

秋深まり何を食べてもおいしいこの季節、皆様いかがお過ごしでしょうか?
京都もいよいよ木々が色づきはじめ、紅葉見物に忙しい季節になってまいりました(主に私が)。
ケヤキやコナラ、ソメイヨシノなどは市内でもかなり紅葉していますが、
本命のイロハモミジは3分といったところです。
とはいうものの、川辺や風あたりのよいところはすでに色づいているところもありましたので、この休日は紅葉を追いかけてまいりました。

今回は詩仙堂。
私が最も好きな庭園をもつ詩仙堂からお届けします。

(詩仙堂 入口)

 京都観光を取り上げた雑誌でも比較的名前が挙がるお寺(?)ですのでご存知の方も多いと思います。石川丈山によって造営されたもので、焼失することなく庭園、建物共に往時そのままのものと言われています(多少の変更はあったでしょうが)。

(詩仙堂 入口すぐの竹林)

五月の「さつき」も有名ですが、紅葉はもっと有名。整った庭園に紅葉が映えます。

(詩仙堂 庭を望んで)

 写真ではかなり色づいているように見えますが、イロハモミジが紅葉しているのは全体の三割程度。来週以降が見ごろになると思います。幸い、数本のだけが鮮やかに紅葉してくれていました。山の陰で温度が低かったためでしょうか?

 (詩仙堂 庭園から)

 詩仙堂に私が初めて訪れたのはたぶん、高校生の時だったと思います。さつきの季節を少し外れた時期だったためか私以外には誰もお客がおらず、縁側で一時間くらい庭を眺めていたのを覚えています。あまりの陽気にあやうく寝てしまいそうになるくらい気分がよかったのですが、詩仙堂での居眠りは禁じられていますのでご注意ください。
 残念ながら紅葉の観光シーズン中ではお客が自分ひとり、ということはまずないと思いますが、朝一番(9時から受け付け)からなら、それに近いものを見ることができるかもしれません。
 
 詩仙堂、受け付け時間は9時~16時45分。
 入場料は大人500円です。
 11月16日現在のイロハモミジの紅葉は3割程度。
 今年の見ごろはおそらく次の連休の22日、23日、24日から。後はどれだけ風が吹かないかにかかってくると思います。
 
 もし京都に来られるご予定のある皆様には是非、お立ち寄りいただきたい庭の一つです。
 
京都紅葉だより一回目 「詩仙堂」

 今日はこのあたりで。
 失礼しました。

Art Fiber Endo 商品企画室

2014年10月15日水曜日

ステッチイデー Vol.20にArt Fiber Endoが紹介されました!

ブログをご覧の皆様、お久しぶりです。
季節はもう秋。
「今年は夏なんかなかったんや…」と一人壁を見てつぶやくArt Fiber Endo商品企画室からお届けいたします。

さて、皆様。
すっかり秋深まり、ずいぶん涼しくなってまいりましたが今年の夏はいかがお過ごしでしたでしょうか。今年は暑かったのは8月上旬くらいで、あとは例年よりもずっと涼しかったように思います。
雨が多かったからでしょうか。
9月中旬で「京都が涼しい…」なんて思ったのは本当に久しぶりだと思います。……冷夏の年までさかのぼるのではないでしょうか(コメ不足の年です)。
夏が涼しいのは一向にかまわないのですが(むしろ望むところなのですが)、週末にことごとく雨が降るというのは本当になんとかしてほしかったです…。午前中は晴れると見せかけておいて、旅先での午後は土砂降りとか鬼ですか。びしょ濡れになった30分後、何事もなかったかのように快晴の空模様になった時は、なにかこうやるせなさに青いものを見たくなりました。
この恨みは秋の紅葉狩りで晴らそうと思います。これからの秋、月曜日の更新がなかったら紅葉を追いかけてどっかに行っているのだと思ってください(マテ。

閑話休題。
さて、8月9月とHPの更新が不定期になっておりましたが、10月からは通常通りに戻りました。新商品掲載も従来通り続けさせていただきます。いま私の手元には現在更新をしている織・編用ラメ、新規編み糸、シルクブレードや変わり糸など……正直、掲載待ちの商品のリストが恐ろしいことになっております。逃げたい(ぉぃ。
店舗の方で販売している商品もありますので、ご来店のご予定のある皆様はぜひ、ゆっくり見ていっていただければ幸いです。この秋、お店のレイアウトや品ぞろえをかなり変えましたので、以前にお店に来られたお客様はちょっとびっくりされるかもしれません。まだまだ触らないとダメなところが多いのですが、HPと並行して進めたいと思って居ります。

さて、近況報告はこれくらいにして、タイトルのご案内へ。
本日発売された日本ヴォーグ社様が出版されている「ステッチイデー Vol.20」にArt Fiber Endoの麻刺繍糸をご紹介いただきました! 作家先生による麻刺繍糸を使った作品も掲載されているので是非ご覧くださいませ! 
(掲載雑誌はこちら↑)

愛読者プレゼントにも参加させていただいております。雑誌ではちょっとお得な通販用の弊社糸セットなども。複数ページにわたって紹介していただけたのは初めてだったので、A.F.E内は少し浮かれております。
またご紹介していただけるよう、新しい素材を作っていきたいと思いました。

さて、今日はこのあたりで。
長文失礼いたしました。

Art Fiber Endo 商品企画室 /

2014年7月18日金曜日

祇園祭前祭を振り返って

 ブログをご覧の皆様、お久しぶりです。
 いよいよ夏本番となってまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 素麺のゆで加減にひたすらこだわるA.F.E商品企画室からお届けします。
 例のよって新商品のご案内ではないのですが(ぉぃ、今年は150年ぶりに祇園祭が大きく変わったということで、祇園祭前祭。私も行ってまいりました。

 さて、新聞やニュースでたくさん取り上げられていたのでご存知の方も多いと思うのですが、今年の祇園祭は150年ぶりに大船鉾が復活したことで、山鉾巡行が前祭、後祭の二回に分けて行われることになりました。私の感覚からすると祇園祭が年に二回ある、というのはすごく違和感があるのですが、そういうことらしいです(←かなり適当)。
 で、この祇園祭の大改革の原因となった大船鉾はどんなのかと、前祭の宵山で見に行ったのですが、まだ立っていませんでした(ぇ。というのは、前祭・後祭と別れたことで、これまで一度に山や鉾が立てられていたのが変更され、前祭に巡行する鉾、山だけが前祭宵山前に立てられ、後祭に巡行する鉾は後祭宵山前に立てられる、ということらしいです。大船鉾は今年の後祭巡行の最後をいくので、後祭宵山前の17日~21日にかけて鉾立てのようですね。がっかりしましたが代わりに船鉾の写真を一枚。
(船鉾 7月14日宵山より)

 祇園祭について今年から大きく変わったのがもうひとつあって、宵山の露店に規制が入ったようです。14日の宵山なのに露店が一軒もありませんでした。前日の16日にはさすがに露店も入ってくると思うのですが、こんなに見やすい祇園祭宵山は私も初めてです。普通、宵山に入ると人でいっぱいで、上のように人がいない状態の鉾を撮るなんて至難の業なのですが。四条通はさすがに人が多く行き交っていましたが、そこも時間を外すと余裕を持って山や鉾を見られると思います。純粋に山鉾や屏風祭りを楽しむなら宵山前半に見に来られることをお勧めします。露店の食べ物が目当ての人は、巡行前日まで我慢。
 今年は例年とあまりに違いすぎて私も何と言えばいいのか、善し悪しをつけがたいのですが、毎年露店に売りに出されるB級グルメをひそかに楽しみにしている私としては、主に胃袋あたりが寂しい宵山でした(山鉾巡行前日の宵山は出歩けなかったので、露店がどの程度出ていたのかは不明)。ただ、山鉾が気軽に見に行けるのはやはりいいですね。夜の風情があって大変見ごたえがあったと思います。これまでは、人ごみに飲まれる覚悟をして見に行っていたものですが(しみじみ)。

 もうひとつ、前祭・後祭が導入されることで変わったことがあります。
 それは山鉾巡行時間(ものすごく重要)。
 
 これまでは一回で、すべての鉾と山が巡行しなければならなかったので、最初から最後まで見るのにものすごい時間がかかりました。それが前祭・後祭に分けられることで一回当たりの時間が減る! 実は私もこれまで山鉾巡行を最初から最後まで見たことがありません。学生時代も巡行のあまりの長さから見に行かなかったのですが、今回、前祭巡行の時間が一時間半程度、ということでお伴で招待席から巡行見物に行かせていただきました。

(前祭巡行 長刀鉾)

 山鉾巡行の最初をゆく長刀鉾。
 前祭・後祭に分かれても「くじとらず」は変わらず巡行の先頭に。唯一、生稚児が乗る鉾ですね(写真の鉾正面に座っているのが生稚児……小さくて見づらいですが)。
 今年の前祭で巡行する山鉾は長刀鉾からはじまって、「占出山」、「芦刈山」、「孟宗山」、「函谷鉾(かんこほこ)」、「山伏山」、「綾傘鉾」、「伯牙山」、「菊水鉾」、「太子山」、「霰天神山」、「油天神山」、「鶏鉾」、「木賊山(とくさやま)」、「四条傘鉾」、「蟷螂山(とうろうやま)」、「月鉾」、「白楽天山」、「保昌山」、「郭巨山(かっきょやま)」、「放下鉾(ほうかほこ)」、「岩戸山」、「船鉾」の23台。
 観覧席で配られた巡行順を見た後、一番最初に思ったのが「一時間半で巡行終了とか、無理」。
 夏の京都、風のなく日当たりのよい閲覧席での山鉾巡行見物がはじまったのでした。

 さて、上の巡行順をご覧になると、「山」と「鉾」の二種類があることがお分かりいただけるかと思います。ざっくり分けるなら、小さなものが「山」、大きなものが「鉾」と考えていただいてかまいません(例外はありますが)。上の長刀鉾は最大の鉾ですが重さは12tくらいあります。で、この大きな鉾を曳き子と呼ばれる人たちが人力で引っ張っていくのですが、そんなに高速で動けるものではありません(むしろこんなでかいのが機敏に動いたら怖いですが)。ついでにこれらの鉾は基本直線にしか進めません。車のように前輪が進行方向に向かって動くようにはできていないのです。じゃあ、曲がるときにどうするのかというと、「辻回し」として有名ですが、地面に薄い竹をいくつも敷きつめて水をかけ、鉾を引っ張って強引に直角に動かします。一度におよそ30度ずつ、計3回動かして進行方向へ90度ずらすのですが、この作業、祇園祭の見どころであると同時に、時間のかかる作業となってしまいます。

 前祭で大がかりな辻回しが必要な鉾は「長刀鉾」、「函谷鉾」、「菊水鉾」、「鶏鉾」、「月鉾」、「放下鉾」、「岩戸山」、「船鉾」と、時間がかかるやつ全部、前祭につっこんできたのかという、ここはクジに多少細工してでも、後祭に鉾を割り振ることが許されるのではないかと思わざるを得ないラインナップでした。これはつらい。
 とはいうもののせっかくの初巡行見学。望遠カメラも持ってきて、準備万端で挑んだのでした。



(山鉾巡行 芦刈山)
 全部の写真を掲載すると大変なので、少しだけ。基本的な「山」の構造は上のようになります。御神体の人形、朱大傘に松を飾り、前懸、胴懸に豪奢な刺繍。写真をご覧いただければお分かりになるように、鉾に比べて非常に小さいのがわかります。「山」の中で例外なのは「岩戸山」、「南観音山」、「北観音山」でこれは「山」のくせに鉾と同じように車輪のついており、外観は「山」というより「鉾」に近いものがあります。

(山鉾巡行 綾傘鉾)

 そしてこちらが「鉾」の変わり種の「綾傘鉾」。
 「鉾」の名前が付いていますが、大きさは写真のように形もすごく特徴的。一般的な「山」よりもずっと小さいのですが、山鉾の古い形態を残した傘鉾のひとつだそうです。「四条傘鉾」も「鉾」の名前がついていますが、「綾傘鉾」と同じく、小さなものになります。綾傘鉾の行列は、笛、太鼓、鉦、棒振囃子の行列で山鉾巡行でもよく目立ちます。
 これらの山や鉾が前祭では四条通から河原町通りを北上し、御池通りを西へ行く、というのが巡行の道筋になります。
 祇園祭がはじまったのは今から1145年前。
 もともとは疫病退散の切実なお祭りでしたが、時代とともに形も変わり今のように山鉾風流の形となったのが650年ほど前のことだそうです。時代とともに少しずつ形も変わっているようで。次の650年後ははたしてどのような祇園祭になっているのか、想像できません。

(山鉾巡行 船鉾)
 大船鉾と並べて比べたかったのですが、上の船鉾で前祭の巡行は終了です。実に3時間という長丁場でした。望遠カメラのバッテリーも早々に切れ、手持ちのデジカメで撮った写真ですが、思ったより綺麗にとれていてよかった。
 
 24日に後祭の巡行があるのですが、閲覧席から御見物のご予定がある方がいらっしゃいましたら次のことにご注意くださいませ。

 帽子は必須です。閲覧席では帽子が配られますが、首筋までフォローできるものではありません。日焼け止めも事前に塗っておかれるとよいと思います。
 次にペットボトルの水も必須です。会場では水は配られません。また、周辺の自販機も限られるので、あらかじめお持ちいただく方がよいと思います(御池通りは自販機があまりないので)。
 後祭の巡行は1時間を予定しておりますが、ずれ込むことも十分考えられます。予定を立てる際、ご考慮くださいませ(前祭ほど時間がずれ込むことはないと思いますが一応)。途中で切り上げることも選択肢に入れて置かれた方が無難です。
 
 後祭巡行予定の山鉾は、「橋弁慶山」、「北観音山」、「八幡山」、「浄妙山」、「鈴鹿山」、「南観音山」、「鯉山」、「役行者山」、「黒主山」、そして「大船鉾」。宵山では新町通り、室町通り、烏丸通あたりを歩けばそれぞれの鉾を見つけられると思います。

 ご機会があれば是非、ごらんくださいませ。
 今日はこのあたりで。

 失礼しました。

Art Fiber Endo 商品企画室



2014年6月11日水曜日

Textile Marche 阪急うめだ百貨店 は無事終了いたしました!

 ブログをご覧の皆様、お久しぶりです。
 京都もとうとう梅雨入りとなりました。梅雨の何が嫌かというと、染め場がスチームサウナのように猛烈に蒸すことでしょうか。地獄の夏はもうすぐそこまで迫っています(ぇ。

 さて、表題にあるとおり、阪急百貨店で開催されていましたTextile Marcheは無事、終了いたしました。A.F.Eのブースにもたくさんご来店いただき、まことにありがとうございました。今回、小さなブースということもあって、あまりたくさん持ち込めなかったのですが、それでも新作のぼかし染めグラスボタンや新作ファスナーなど、こちらの予想以上に好評だったようで、まずはホッと一息ついております。私も来場者の少ない朝や夕方に店番に立っていたのですが、うん。向いていないな、と思いました(マテ。
 うちはご存知の取り、糸がメインのお店なのですが(最近はわけのわからないものも扱っていますが)、マルシェは生地のイベントです。織り屋さん、というのは基本自分の所の定番の布、というものはあまり扱っていません。デザイナーや業者さんから依頼を受けてそれ用に織るのが一般的だと思います。今回のマルシェには、そんなデザイナー、業者用の生地を取り扱っている織り屋さんが出展されていたので、私もあまり見たことのないような生地を直に見ることができたっていうのがちょっとラッキーでしたね。
 レース地やシルクの面白い布がたくさんあった中、ひときわ目を引いたのが麻布。ただの麻布じゃないですよ。麻100%で幅が1.5m、厚手のタオル状のもので、巻きの状態で市場に流通しているのを見たのは私も初めてでした。もちろん、お好きなmでカット可。
 夏の寝具用に織られたものだったのですが、今年の製品に間に合わなかったということでマルシェに流れてきた麻布とのことでした。麻の寝具、というと良いものはちょっとお高いものですが、さすがマルシェ。店番さんに2回、価格を聞き返すほど安かった……。正直、買い占めておけばよかったと今になって後悔しております^^;。私にとって、物を売りに来たのか買いに来たのかよくわからないイベントとなった今回のマルシェ。次回も九月に開催されるそうなので、もしご興味のある方がいらっしゃいましたら是非、お越しいただければ幸いです。
  
追記

 前回、タッセル教室の延期のご連絡をしたのですが、弊社のタッセル担当者の怪我も順調に回復しており、次のタッセル教室は7月中旬以降を予定しております。例によって、開催が決まればHP上やメルマガでお知らせいたします。もしご興味のある方はぜひお問い合わせくださいませ。
 例によって少数でのお教室になりますので、規定人数になり次第、募集は打ち切らせていただきます。ご注意くださいませ。

 それでは、きょうのところはこのあたりで。
 皆様、次のブログでお会いしましょう。
 失礼いたしました。

Art Fiber Endo 商品企画室