京都でも夕暮れくらいから秋虫が鳴くようになりました。途絶えることなく「リーリー」と鳴る虫の音になんとなく耳を傾けながらColour Labからお届けします。第八回、色についてのあれこれ「鶸色」はじめたいと思いますー。
「鶸色(ひわいろ)」
大陸から渡来する冬鳥に「鶸」がいます。この鶸色はこの鶸鳥の羽毛の色からとられたものなのですが、日本古色名の由来として鳥や毛皮の色などからとられるのは珍しいと言えるでしょう(余談になりますが、日本の和名の名前の由来は花や葉など、植物由来のものが多いのに対して、西洋では動物由来のものも多い傾向にあります。その理由は定かではありませんが、農耕民族であった日本人と狩猟民族であった西洋人との生活習慣の違いが色名に表れたのではないか、という話もあります)。
鶸鳥は『枕草子』の中にも記述されているほど古来から知られている鳥なのですが、「鶸」という色名が定着したのは鎌倉時代になってから、というのが通説です(鎌倉時代の書物、『布衣記』が初出)。
この鶸色は当時の日本人に愛された色の一つだったのかもしれません。「鶸色」から派生した色名が存在します。次にご紹介する「鶸萌黄」もその中のひとつ。次の色見本を見てみましょう。
この鶸色は当時の日本人に愛された色の一つだったのかもしれません。「鶸色」から派生した色名が存在します。次にご紹介する「鶸萌黄」もその中のひとつ。次の色見本を見てみましょう。
「鶸萌黄(ひわもえぎ)」
「鶸色」と「萌黄色」の中間にあることからこの色名がつけられたのでしょう。この名前が定着したのは江戸時代中期だと考えられています(江戸時代の染法書、『染物早指南』に鶸萌黄の染め方が書いてあること、また同時期の染見本帳にも鶸萌黄の名が記されていることから)。この色名のもととなったもう一つの色、「萌黄」はご想像の通り、この鶸萌黄より濃く、緑味の強い色になります。 以上、色についてのあれこれ「鶸色」、「鶸萌黄」でした。
紫系と橙系の色がないようなので、次はそれらの色をご紹介させていただきたいと思います。
それでは皆様、お付き合いいただきありがとうございました。次のブログでお会いしましょう。
失礼しました。
遠藤染工場 Colour Lab / Art Fiber Endo 商品企画室
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