いつものようにColour Labからお届けします。前置きなくさくさく行きましょう。
第十回「色についてのあれこれ」はじめたいと思いますー。
第十回「色についてのあれこれ」はじめたいと思いますー。
「黄蘗(きはだ)」
古色についての本を紐解くと、読み方がわからない色名の出会うことがあります。振り仮名をうってくれているものは問題ないのですが、「読めるものなら読んでみろ」とばかりに、漢字だけの資料もあったりします。もちろん私はこの「黄蘗(きはだ)」を振り仮名なしに読むことはできなかったのですが(ぉぃ、読み方の難しい色のわりに、名前の由来は非常にシンプル。
ミカン科の落葉広葉樹に「黄蘗」という木があります。……もう答えが出てるようなものですが、一応解説を続けます。この「黄蘗」がこの綺麗な黄色の染料のもとになります。この木の樹皮の内側にはコルク状の層があって、これを煎じます。その煎じた液を染液のようにもちいて、これに布や糸を浸すと、見本のようなやや緑味のある黄色に染まります。非常のお手軽です(ぇ。「黄蘗」からとれる染料で染めた色だから「黄蘗色」ということなのでしょう。この黄蘗の木から染液を取り出して染める手法は大陸から伝えられ、奈良時代でも染められていたものと思われます。
「黄蘗」は染料としてだけではなく薬用(健胃整腸剤、傷薬などの漢方薬)としても用いられました。加えて、「黄蘗」で染めたものは防虫の効果があるとされ、経典の書写のときには紙を事前に「黄蘗」で染めて使用されていました(このような「黄蘗」で染めた紙を黄蘗紙、または黄染紙といわれています)。
さて、この黄蘗に限らず黄色系の色を染める時は器具をよく洗浄する必要があります。……もちろん他の色でも使用する器具の洗浄が必要なのは当たり前なのですが、黄色は特に他の系統の色が混じった際、大きく色が濁ってしまいます。わずかな汚れでもかなり目立ちますのでご注意を。
染めるのは難しくないけれど、器具の洗浄が大変な面倒くさい色ですね。個人的な感想を言わせていただきますと。
さて、色についてのあれこれ「黄蘗」。
ここまでにしたいと思いますー。
お付き合いいただきありがとうございました。次のブログでお会いしましょう。
長文失礼しました。
遠藤染工場 Colour Lab / Art Fiber Endo 商品企画室
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