今日は「薄色」を紹介させていただきたいと思います。

しかし、後に色が薄いことからやがて禁色からは別扱いになり、誰でも身につけることが許される「聴色(ゆるしいろ)」とされています。
ここまでにしたいと思います。
お付き合いいただきありがとうございました。
このページは自社工房にて糸の染めを行っている手芸店、Art Fiber Endoの新商品開発部門、商品企画室の日常をつづったもの…になる予定です。筆記者は遠藤染工場のColour Labにも所属しているため、染めについての興味を持っておられる方にちょっとしたこともお知らせできるかもしれません。簡単な染めの技術や知識などもお知らせできたらいいなと、思っています。 なにぶん、初めての試みなので至らないこともあるかと思いますが皆様、よろしくお願いいたします。
「鶸萌黄(ひわもえぎ)」
「鶸色」と「萌黄色」の中間にあることからこの色名がつけられたのでしょう。この名前が定着したのは江戸時代中期だと考えられています(江戸時代の染法書、『染物早指南』に鶸萌黄の染め方が書いてあること、また同時期の染見本帳にも鶸萌黄の名が記されていることから)。この色名のもととなったもう一つの色、「萌黄」はご想像の通り、この鶸萌黄より濃く、緑味の強い色になります。 以上、色についてのあれこれ「鶸色」、「鶸萌黄」でした。
紫系と橙系の色がないようなので、次はそれらの色をご紹介させていただきたいと思います。
それでは皆様、お付き合いいただきありがとうございました。次のブログでお会いしましょう。
失礼しました。
遠藤染工場 Colour Lab / Art Fiber Endo 商品企画室
さて、「瓶覗」。
古色の中ではかなり有名な色名なのでご存知の方もおられるかもしれませんね。この色名が呼ばれ始めたのは江戸時代。藍染めが盛んにおこなわれるようになった江戸時代からのものと伝えられています。瓶覗きの名の由来は私の知る限り二説あります。ひとつは「藍瓶をちょっとのぞいたくらい、ほんの少し浸した程度に染めた色、であることから名付けられた(つまり以前にお話しした「藍白(白殺し)と「瓶覗」を同じものとして扱うということ)」という説。おそらくこちらのほうが説として有力なのですが、この説を採用してしまうと以前、ご紹介した「藍白」の立場がなくなってしまいますので、ここでは第2説のほうの色目を採用させていただきました。
もう一つの説のほうは「瓶に張られた水に空の色が映ったような色調であることから、瓶に写った空を覗き見た色、そこから「瓶覗」」、と名付けられたという説です。色見本を見ていただければお分かりいただけると思いますが、前出の白藍色よりもはるかに濃い色になっています(ちなみに、1説のほうの瓶覗の色を採用したとすると、その色目は以前ご紹介した「白藍色」をほんの少し濃くした感じの色になります)。瓶覗の名前の由来となったこの2説、いずれが正しいのかは明らかではありません。先ほど述べたように第一説目のほうが有力だと思いますが(第二説のほうを取り上げている資料は非常に稀)ですが、ここではあえてこの色調で。私はひねくれているのでマイナーな話が好きなのです(マテ。
とはいうものの、この色についてはちょっと手直しもするかもしれません。瓶覗きについての色見本をもう一度洗いなおしてみようと思います。藍白色に近づける気はありませんが、実際に瓶に水を入れて空を写してみたら、もう少し色調を抑えたほうがいいようにも思いましたので。……こだわるときりがない気もしますが……。
いずれにせよ「瓶覗」。しゃれっ気のあるいい名前だと思います。色の名前に良し悪しはないのかもしれませんが、昔の日本人たちは想像力をかきたてるような色名をたくさん残しているように思います。海外の色名はなんというか……ストレートなのが多いんですよね……。それはまた後日。
では色についてのあれこれ「瓶覗」。ここで終わりたいと思いますー。次の色は「鶸」、「唐紅」、「粗染」、「香色」、「薄色」の中のどれかにしたいと思います。
それでは皆様、お付き合いいただきありがとうございました。
次のブログでお会いしましょう。長文失礼いたしました。
遠藤染工場 Colur Lab / Art Fiber Endo 商品企画室
……桜や白藍、白緑の時も不安でしたが、まともにディスプレイ上に色が再現されているのでしょうかこの象牙色。見えていないことも考えて簡単に説明しますと、やや柔らかみのある灰、それをものすごく薄く染めています。 象牙色を黄みの白、という風に表現している書物もあるのですが、ここではそれを採用しておりません。黄みに若干の青みの灰をもたせております。あくまで「象牙色」の範囲内ではありますが。
日本に初めて象が渡来したのは室町時代。だったらこの「象牙色」という色もそのときに伝わったのかというと、そうではないようです。前置きで「アイヴォリーの訳語が象牙色」という風に書きましたが、象牙色という名称は近代西洋文学が日本に輸入されたとき作られた色名、というのが通説のようです。江戸時代、根付や印鑑に象牙が使われていたはずですから、この象牙色、もう少し時代が古くてもおかしくないのではないかなぁ、と思うですが。……どうなんでしょうしょうね。和名でこの象牙色に近しい色、というと「鳥の子色」、「練色」、「蒸栗色」、「卯の花色」などを思いつくのですが、やはり象牙色のように黄の灰色、という色ではないようです。まぁ、昔からの和名になかったから「象牙色」なんて新しい色名をつくったのでしょうが……。……ちょっと色の見方が辛いんじゃないかなぁ……。
たくさんの色名が生まれ消えていきましたが、この象牙色(アイヴォリー)はもっとも成功した色のひとつと言っていいでしょう。使い勝手もよく、服飾では欠かせない色の一つになっております。
以上、「象牙色」でした。次の色は……「鶸」か「甕覗」あたりにしたいと思います。
それでは今日はこのあたりで。お付き合いいただきありがとうございました。次のブログでお会いしましょう。
遠藤染工場 Colour Lab / Art Fiber Endo 商品企画室
上の色見本に筋模様が入っているのは気になさらないでください。一般に「杉綾」と呼ばれる素材を「白藍(藍白、白殺し。以下、白藍」と記述します)」に染めたものが上のものになります。
さて、前回の桜色は紅染めで最も薄い、と記述しましたが、藍系列で最も薄いとされているのがこの白藍色となります(ただし日本伝統古色の中のお話)。お察しの通り、現在ではこの色よりもより薄く淡い染め色、というのもあるのですが(たとえば、有名どころではSnow Blueなど)、あまり一般的ではありません。アパレル関連では上の白藍よりも若干濃くてもすごく薄くてもサックスブルー、あるいは単にサックス、と呼ばれています。アパレル業界で万能すぎますサックスブルー。
話を戻して。
一番薄い藍、という風に言いましたが、この白藍よりも濃い藍色というのが当然存在します。というよりもこちらの濃い色のほうが有名だと思うのですが、一番濃く深い色の藍色を「深藍色(こきあい)」、次が「中藍色(なかのあい)」 、「浅愛色(うすきあい)」、ときて、最も薄いのがこの白藍色になります。この「深」、「中」、「浅」という色の分け方ですが、古色では頻繁に目にします。紫にもありますし、たしか緑にも使われていた記憶がありますね。どっからどこまでが深でどこからが中なのか非常にわかりにくいです。誰か教えてください(マテ。
さて、一番初めの紹介で白藍の別色を藍白、白殺し、という風に書きましたが、実は正確ではありません。と、いうより本来は別物です。藍染めをされておられる方はご存知だと思いますが、藍染めは何度も染めを繰り返すことで薄い色から濃い色へと染めていきます。「藍白」というのはこの藍染めの一番初期の段階(一回染めを終えた後の状態の色)のことを指します。一方、「白藍」ははじめからその色の濃度になるように染料を調整し一回で染め上げた色を指します。このように出来上がりとなる色は近しいのですが、その色を染める道筋は異なっているのをお分かりいただけると思います。
が、基本的に色目は近く、両方とも藍染めで最も薄い、というように理解されていますので、ここでは同じ色として扱わせていただきました。今日は二色紹介するということなので、「白藍」はここまで。
では次の色へ~。
「白緑(びゃくろく)」
……またえらく薄い色が連続で出てきますね~。
今日、二色目は「日本伝統古色、白緑」です。例によって上の色見本に模様があるのは無視しちゃってください。
まずはじめに。
この「白緑」なのですが日本伝統古色ではあるのですが、染め色ではありません。何を言っているのかというと、この白緑は染料の色ではなく、顔料の色です。前にブログの中でお話ししましたが、基本的に染料と顔料とは扱いが全く異なります。染料は繊維の中に入り込んで染まるのに対して、顔料は絵具と同じように、接着剤で繊維の表面にくっつき紙や生地に色を付けます。日本画などをされておられる方はご存知かと思いますが、日本画に使われる顔料は岩や鉱物や貝殻などを砕いて粉にしたりすることで得られます。
この白緑も同じく、孔雀石(マラカイト)を砕いた粉末をさらに細かくしたものです。古色の名に「緑青」というものがありますが、その原料は白緑と同質のものです。ただ、細かくした分色が薄く見える、ということから、白緑と緑青とは別の色として認識されています(実際、白緑は見本によってかなり濃淡の差が大きいように思います。粒子の細かなものは薄い色に見えますし、粗いものは濃く見えます)。
白緑のもととなる緑青は仏教伝来と時を同じくして日本に伝わったということですから、この白緑もそれくらいの時代から使われてきたのでしょう。
染色業界の中で緑色は不遇な色、という印象を個人的に持っています。というのは、若草や葉っぱなどに由来する中くらいの濃さの色名はたくさんあるのですが、この白緑のような薄い色の緑となるとあまり色名を思い浮かべることができません(私の不勉強かもしれませんが)。たぶん、A.F.Eではこの白緑が緑系列で最も薄い色になると思いますし、世間で認知されている緑系の色名でもこの白緑が最も薄い色になるのではないかな、と思います。……秘色があるじゃないか、という突っ込みはここでは聞きません(オイ。
パソコンのディスプレイ上できちんと色見本が再現して見られるのかどうか非常に気になるところなのですが……第三回、色についてのあれこれ「白藍」、「白緑」についてはこれで終わりたいと思います。
……桜色の時よりはあっさりした紹介になってしまいましたが、これは私の色の好みの問題だと思いますので改善できません(マテ。
それは皆様、次のブログでお会いしましょう。
長文失礼いたしました。
遠藤染工場 Colour Lab / Art Fiber Endo 商品企画室